更年期障害とエストロゲンの関係-女性ホルモンを増やす方法とは

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脳とエストロゲンの関係

エストロゲンとは、女性ホルモンの一種で閉経や更年期に大きく関係しています。
では、エストロゲンとは一体何なのでしょうか?エストロゲンがどのように分泌されているのかをみてみましょう。

女性ホルモンには、卵巣から分泌されている「エストロゲン」「プロゲステロン」の2種類があります。
この女性ホルモンを分泌するには、脳から「女性ホルモンを分泌してください!」と命令を出す必要があります。

エストロゲンを分泌するプロセス

まず、脳の視床下部から、女性ホルモンの分泌を促すホルモン『性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)』が放出されます。
そのGnRHに下垂体が反応し「女性ホルモンを分泌しなさい!」という命令を卵巣に出します。
この命令が「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体形成ホルモン(LH)」という女性ホルモンです。
この女性ホルモンに刺激を受け、卵巣にある一つの卵胞が成熟していきます。その過程で「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が分泌されます。
またこの時、黄体形成ホルモン(LH)に刺激され、成熟してした卵胞が破れて中から卵子が排出され、排卵となります。

この「エストロゲン」「プロゲステロン」の2つのホルモンによって、子宮内膜は厚くなり、受精卵の着床の準備に入ります。
妊娠しなかった場合、子宮内膜は子宮の壁から剥がれ落ち、血液と一緒に排出されます。これが月経(生理)です。

その後、今度は「エストロゲン」「プロゲステロン」が視床下部や下垂体に対して、「もう十分ホルモン分泌したので、止めてください!」とホルモンを調整するように促します。

このように、脳の視床下部・下垂体と卵巣は、それぞれが影響しあって女性ホルモンの分泌量を調整しています。

更年期障害とエストロゲンの関係

女性ホルモンは、年齢によって分泌量が変わってきます。
もっとも多いのが、思春期・成熟期の18~40歳です。40歳ごろから徐々に減り、50歳の閉経前後で急激に減少します。

それは、老化とともに卵巣内の卵胞の数が減少するからです。元々約200万個の卵胞を蓄えている女性ですが、思春期が終わる頃から徐々に卵胞が自然に消滅していきます。そして、40歳を超える頃に急激に卵胞の数が少なくなり、50歳頃にはほとんど無くなります。その結果、月経がなくなり、閉経になります。

「年代によるホルモン量のグラフ」

一般的には閉経前の40歳後半ごろからホルモンが減少し始めると言われていますが、人によっては30代後半で減少がみられる人もいれば、逆に50歳半ばになってからの方もいます。

エストロゲンがなくなるとどうなってしまうのか

卵胞が成熟する過程で女性ホルモンが分泌されるので、その卵胞の数が少なくなるということは、女性ホルモンの分泌量も減るということです。

では、女性ホルモン「エストロゲン」が分泌されなくなると、どのような事が起こるのでしょうか?

脳の視床下部は、下垂体に「エストロゲン」を分泌するようにGnRHを分泌し命令を出し、下垂体がFSH・LHを分泌させます。本来ならば、このホルモンにより、卵巣からエストロゲンが分泌されるのですが、卵胞が少なくなっているのでエストロゲンが分泌されません。FSH・LHが多く出ているのに、エストロゲン量が増えないことで、ホルモンのバランスが乱れます。

この脳の視床下部とは、女性ホルモンの分泌を促しているだけでなく、自律神経をコントロールしている脳でもあります。例えば、代謝機能、体温調節、心臓血管機能、内分泌機能など生命維持の中核なのです。そのため、女性は更年期までは男性よりも生活習慣病になりにくいのです。

その自律神経がコントロールできないことで、自律神経失調症のようになり、体に様々な不調が現れます。

血管運動系障害によるもの

エストロゲンの減少により、血液循環の働き、血管の収縮・拡大などの働きが上手くいかなくなります(血管運動系障害)

  • 突然顔が熱くなる
  • 暑くもないに、大量の汗がでる
  • のぼせ・ほてり
  • 動悸
  • 息切れ
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 耳鳴り
  • 手足の冷え
  • 倦怠感

精神障害

身体的な症状だけでなく、精神的な症状もあらわれます。身体的症状と同じように、日によって症状の度合いも異なり、自分の意志ではコントロールできないので、大きな負担になります。

  • イライラ
  • 憂鬱になる
  • 不安になる
  • やる気が起きない
  • 不眠

とくに50歳前後は、環境が大きく変化しやすい年代でもあります。
子供の就職、親の介護、夫の定年、老化による病気、子供が自律したことで自分が働きに出たり、女性の社会進出により長く勤めている女性も多く職場の人間関係で悩まされる方も少なくありません。
こういった環境の変化や不安から、大きなストレスを抱えやすく、精神的な負担とエストロゲンの減少で鬱になることもあります。

閉経後は

このように、女性にとってエストロゲンとは、体調の管理や精神的安定をコントロールしている大切なホルモンなのです。その女性ホルモンが閉経後にはほとんど分泌されなくなり、エストロゲンの恩恵を受けられなくなります。

そのため、気にしていなかった病気にかかりやすくなります。

骨粗しょう症

エストロゲンは、代謝やホルモンのコントロールだけでなく、骨からカルシュウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。そのため、エストロゲンが減ってしまうと、骨が吸収するスピードが早くなり、骨の形成が追いつかず骨密度が低くなります。結果、骨がもろくなり、骨粗しょう症や骨折しやすくなってしまいます。

動脈硬化

閉経になることで、血中濃度が急激に増え、動脈硬化が発症しやすくなります。

動脈硬化とは、血管の内壁にコレステロールが沈着し、内壁が厚く狭くなることで、血管の弾力を失って硬くもろくなる状態をいいます。
そのため動脈硬化症になると、血管が詰まりやすくなり「心臓病」「脳血管障害」といった命に関わる病気の原因になります。

エストロゲンには、この動脈硬化の原因である血中の悪玉コレステロールの増加を抑え、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールを増加する働きもあるのです。

閉経しエストロゲンの減少に伴い、血中濃度が急激に上昇し60歳代でピークを迎えます。

男性との違い

男性もエストロゲンを分泌することができます。
テストステロンという男性ホルモンの一種からエストロゲンが分泌します。その量は更年期の女性と同程度といわれています。
思春期になるとテストステロンが急激に増え、加齢とともに徐々に減少していくので、女性の閉経のように急激な減少はありません。
このテストステロンが減少することで、男性は自律神経や泌尿器系にさまざまな症状があらわれます。

エストロゲンを増やすためには

閉経後はエストロゲンを体内で生成することはできないので、ホルモン治療により補うしかありません。
しかし、必ずしもエストロゲンが必要ということではなく、ホルモン量や症状の度合いによって治療法もかわってきます。

ほてり、のぼせ、発汗、めまい、動悸、しびれ感、肩こりなど 自律神経調整薬、ホルモン補充療法、漢方薬
不眠、うつ状態など 抗不安薬、抗うつ剤、カウンセリング
萎縮性膣炎など エストロゲン製剤
腰痛、骨折など (骨粗しょう症) 骨粗しょう症治療薬

一言に更年期といっても、人によって症状や度合いがことなり、治療法も変わってきます。

ホルモン補充療法

もっとも多く使われる医学療法は、足りたくなったホルモンを補うホルモン補充療法です。その療法も、飲み薬、塗り薬、貼り薬などさまざまです。
しかし、乳がんや子宮体がんなどの病気の場合、アレルギー症状が出るのでホルモン補充療法は受けられません。
初診ではホルモン採血や超音波検査で5,000円ほどかかります。そして、ホルモン補充療法と眠剤で3,000円ほどの治療費になります。※病院によって治療法や値段もことなります。あくまでも目安です。

漢方

漢方の場合は、エストロゲンを増やすのではなく、障害が起きている箇所を改善する効果があります。主に血管運動系障害に有効で、副作用も少なく
長期的に安心して使えるメリットがります。症状にもよりますが、1ヶ月5000程度になります。

サプリメント

一番手軽に利用できるのがサプリメントです。
サプリメントの場合、エストロゲンの分泌を促すのではなく、女性ホルモンに似た働きをする成分を取り入れることで、血管運動系障害や精神障害を緩和します。
サプリメントの良い点は、吸収率のよさと飲み易さです。直接吸収できるため高い効果が発揮でき、漢方と異なり飲みやすく、続けやすいのが特徴です。漢方やサプリメントは、毎日飲み続けなくてはいけないので「飲みやすさ・続けやすさ」は重要になります。

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